以前のブログで、防水スプレー施工のコツと注意という内容の記事を書きましたが…
ここ最近、また事故が増えているそうです。


「防水スプレー吸引で肺炎・発熱も 屋内利用時の事故増」

衣類などに使う防水スプレーを吸い込み、肺炎や発熱を訴えるケースが目立っている。日本中毒情報センターには昨年、防水スプレーの吸引に関する相談が52件(暫定値)寄せられた。入院したケースもあり、注意を呼びかけている。
(”朝日新聞デジタル“より一部引用・抜粋)

2014年以降、事故が増えているそうで、14年⇒47件、15年⇒68件あったとの事。

今から20年ほど前…スキーブームがあった時には、かなり中毒事故が多発していたのを僕も記憶しています。
それ以降も、たまに「靴の防水施工中に中毒になった」などの報道があったりはしますが、これほど事故件数があるとは正直知りませんでした。

貴方なら、どうしますか?

例えば、貴方は何かをスプレーで塗装しようと思った時に、屋内(部屋の中)で塗装しよう…と、思いますか?

「色が飛ぶ」「部屋が臭くなる」「気持ち悪くなる」など、恐らく屋内で塗装しようとは思わないはずです。

では、「スプレーのり」ではどうでしょう?

「スプレーと言っても”のり”なんだから、別に屋内でも問題ないでしょ?」と思うのではないでしょうか。

これは、「半分」正解です。
ほとんどの製品の取扱い説明には、

「風通しの良い場所で、換気をしながら使用する事」
「風通しの悪い場所で、換気をせずに使用しない事」

といったような内容が書かれているかと思います。

実は、スプレーのりにも「有機溶剤」が使用されています。
またスプレーのガスは可燃性のガスが使われている事がほとんどです。
換気の良くない場所で使えば、スプレー塗料と同様、部屋が臭くなったり、気分が悪くなる…といった事が起きる可能性は十分ありますし、当然火気を遠ざける必要があります。

「換気さえすれば、屋内でも使える」

この「スプレーのり」と同じような認識が、防水スプレーでもあるのではないか?と、僕は考えています。

なぜ屋外で施工するのか?

僕がお薦めしているコロニル社の「ウォーターストップスプレー」は、フッ素樹脂系の防水(はっ水)剤を使っています。このフッ素樹脂は元々は個体の為、有機溶剤で液体状にしてあります。

これを防水したいものにスプレーすると、ミスト(霧)となって飛びます。その粒子を吸い込むと、肺の中をコーティングしてしまうのです。
最終的には取れるそうですが…それまでは肺の中で酸素を取り込むのを邪魔してしまう為、呼吸困難や動悸、めまいなど酸欠の症状を起こします。また有機溶剤成分が肺の中を刺激し、酷いと肺炎にもなるようです。

使い方のおさらいとまとめ

やはり、風通しの良い(風が強過ぎるのは問題ですが)、屋外で施工するのは当たり前として、

○マスクを着用する(可能なら保護メガネも)
○火気を近付けない

この2点は、必ず守って頂きたいです。自分の身体を壊してしまっては、元も子もありませんから…。

「安全は、全ての業務に優先する」ですよ!